なんとか帰宅

miwa3852011-03-11

約16kmを歩いてなんとか家に帰ってくることができた。最初は数日前に昼頃起きた地震と同程度かと思っていたら、壁がミシッと鳴ってキャビネットもぐらぐら。これはやばいと机の下にもぐって早くおさまってくれることをひたすら祈った。しばらくして今度は縦揺れが来たときには、今度こそ死ぬと覚悟した。こんな高層ビルの30階からどうやったら脱出できるのか。長い時間揺れが収まらず、船酔いしたときのようにとにかく気持ち悪い。ボスの部屋の大きなガラス窓からは隣接するたくさんの高層ビルがぐらぐら揺れているのがはっきりと見えてさらに恐怖心がつのった。
しばらくして終業時間を待たずに帰宅してよしとのメールが流れたけど、エレベーターも電車も止まっているし。電車が動くのを待ってみたけど、2時間はかかるとか、明け方まで動かないなど情報が飛び交う。そうこうしているうちにだんだんと今回の地震の規模のすさまじさがわかってきて、ただならぬ状況であることを知った。余震が続く中、高層ビルが乱立するこんな場所で下手に外に出るよりはビルの中にいた方が安心かもしれないとも思ったけど、死ぬときは家族と一緒にいたいと思い、歩いて帰ることを決意。
近所に住む後輩と、途中まで方向が一緒の男性弁護士と後輩と一緒に、職場で支給されている非常持出袋を背負って19時前に4人で出発。まずは30階から4階出口まで階段で降りた。Google検索によると、自宅までは約16kmで3時間半の行程。学生時代に何かの企画でディズニーランドから三鷹まで歩いたときに比べたらまだましだ。気分を明るく、おしゃべりしながらまずは渋谷まで1時間。同じように歩いている人達が歩道にあふれているのでペースも遅い。ここで後輩の1人が別方向なのでお別れ。さらに1時間歩いたところで男性弁護士とお別れ。自宅に着いたら車を出してくれると言ってくれたけど、車はぴくりとも動かないし、せっかく家族と合流できたのにまた引き裂くのは申し訳なかったのでお断りした。
残された女子2人でとりあえずコンビニでトイレ休憩。結構並んでいたので20分ぐらい時間をロスしてしまった。温かい飲み物と肉まんとスコーンを調達して食べながらまたひたすら歩き続けた。あと2時間ぐらいか。残り3.5km地点に到達したところで駅のホームが見えて、のぼり電車が動いているのを発見!急いで駅に行ってみると、ちょうどくだり電車も動き始めたところだった。助かった。でも最後、駅から自宅まで6分の距離を歩くのが意外と一番きつかった><
地震が発生した時は家族はてんでんばらばらだった。アルバートは小学校、ウィリアムは保育園、王子は横浜、私は六本木。当面の間子供達は小学校と保育園で預かってくれるだろうけど、いったい何時まで預かってくれるのかわからないし、とにかく連絡がつかない。おまけに家は停電していると奇跡的に連絡が取れた長屋のMちゃんが教えてくれたので、帰宅できても車をタワーパーキングから出せない。なんとか義母と連絡がついて、義母が徒歩で小学校、保育園と回ってくれて20時過ぎには我が家にたどり着いたようだ。停電で暗くて寒い中、ほんとにありがたい。保育園から自宅に歩く途中で食料を調達しようとコンビニに寄ってくれたけど、既にパンなどすぐに食べられるものは完売していたようだ。祖母宅は停電していなかったのでそっちに移動しようと考えてくれたようだけど、ウィリアムが『僕もう眠い』と言ったそうで、家にあった物を少し食べさせてくれた後、歯磨きだけして寝かせてくれたとのこと。私が23時過ぎに帰宅したときには、義母も寒い中ソファで布団をかけて寝ていた。途中何度か連絡がついたときに、もうこっちは大丈夫だからどこか泊まって来なさいと言ってくれた優しい義母。お疲れ様でした。本当にありがとうございます。そして子供達のことを心配してヘルプを申し出てくれたり、安否を心配して電話やメールをくれたたくさんの友達。みんなのおかげでとても心強かった。心からありがとうございました。
そして一番楽をしたのは王子@@女子社員を送るために車が出ることになり、そのドライバーがご近所さんだったので、便乗させてもらったそうだ。あちこち寄り道したそうだけど、22時に出発して24時過ぎには帰ってきた。男性社員は会社で待機の可能性もあったから、帰ってきてくれて本当によかった。ようやく家族が揃って一安心。
帰宅できた後は脱力しちゃって、しばらくテレビを見ながら改めて地震の規模に驚愕した。被災した方々の状況からしたらこの程度のことなんて苦労でもなんでもない。私が帰宅したときにはガスも電気も復旧していたので、義母にお風呂に入ってもらってから義母宅までお送りした。再び帰宅して、お風呂に入り、洗濯をしてから3時過ぎには布団に入れた。既に始まっている筋肉痛を王子が揉み解してくれる間、自分のベッドで眠れることのありがたさをかみ締めた。