噛み癖

息子がまた保育園で噛まれた。4月に入園してから1年、今まで数え切れないぐらい噛まれてきた。初めて噛まれたときは多少動揺したもんだが、こう何度も起きるとまたかと思い、傷口を見て、「大したこと無いな、大丈夫」とそれほど心配はしなくなっていた。噛まれたりひっかかれたりしたときは、保育園側は連絡帳に付箋を貼り、それにそのときの状況、そしてもしはっきりとわかっていれば、噛んだ子の名前も書いてくれる。大抵は保育士が必ずしも目撃しているわけではないので、誰が噛んだか微妙なときは教えてくれない。間違った子の名前を書いてしまったら問題だからそれはそれでいいと思う。最近は息子もしゃべれるようになったので、「○○くん、かんじゃったの(正確にはかまれちゃった)」と傷口を指しながら報告する。でもたまに付箋に書いてある名前と違っていたりするからあてにならない。噛んだ子の親にもちゃんと報告がいくようで、きちんとしている親なら電話などで謝ってくれたりする。
噛まれる理由は簡単で、おもちゃの取り合いや、自分が座ろうとした席に座っちゃったとか、自分の意思が通らなかったときに、苛立ちが「噛む」という行為に表れてしまうらしい。この噛み癖は1歳半ぐらいから見られるらしい。息子のクラスでも、息子を除く8人中少なくとも5人(全員男の子)が過去に噛んだことがある。なぜ知っているかと言うと、回数は違えども、その5人全員に息子は噛まれた事があるからだ。息子はクラスの中で一番月齢が低い。入園したころはまだ歩けなかったからみんなから赤ちゃん扱いされていたこともあり、もしやちょっとなめられているのだろうか。仕返しをすることもしないのでターゲットになりやすいのかもしれない。でも子供同士のこういうことは仕方のないことだと思っている。お互い様だし、親がいちいちしゃしゃりでるのもおかしい。過保護にもなりたくない。2歳ぐらいになればもう噛むという行為はしてはいけないことだと理解できるが、1歳ぐらいではまだなんで怒られているのかも分からないだろうし。
しかし、今日の噛まれ方はいつもと少し違っていた。まず、先生からの付箋に加えて噛んだ子の母親からの謝罪のメモが貼ってあったのだ。母親が迎えに来たときにどうやら先生が報告したらしい。というのも、相当強く噛んだからとのことだ。今日噛んだ子は、しょっちゅう噛んだりひっかいたりをやらかしていて、うちの息子も何度も犠牲になっている。同じクラスのパパ友なんてその子のことを「切り裂き○○くん」と命名しているぐらいだ。でも謝罪の電話は今まで一度もない。私が思うに、その子は3人兄弟の末っ子で、お兄ちゃんたちに相当鍛えられているのではないか。3人も息子がいると、保育園でのそういった事件も彼女にとっては日常茶飯事で、新米ママの私みたいに一喜一憂していられないのかもしれない。さらに、夜、担任の先生から謝罪と息子の様子を聞く電話まであった。先生方はいつもこういうことがあると、防げなかったことを謝ってくれる。別に先生が噛んだわけじゃないのに、なんだか申し訳ない。
さて、これだけのことがあるといったいどんな傷になっているのか、少々心配になってきた。お風呂に入る前に服を脱がせて初めて傷を確認した。傷口はそんなに大きくないが、まだ血が出ていて痛々しかった。これが本当に噛んだ傷なのか??まるで刃物で刺されたみたいな跡だ。どんな強さで噛んだらこんな傷になるのか。噛んだ子はこんな強さで噛まれたことがあるんだろうか。しかも今回はおもちゃの取り合いなどではなく、息子は何の理由もなく噛まれたらしい。色々考えたらなんだか泣けてきた。お風呂では傷口がしみるらしく、水がかからないように細心の注意を払ったのだが、「いたいの、ここ、いたいの〜」と泣くかわいそうな息子。小心者だが痛みには強い方で、転んでも泣かずに立ち上がる子なのに。噛んだ子の母親にもこの傷を見てもらいたいなと思った。
幸いうちの息子はまだ噛んだことはない。できることならこの先も加害者にはならないで欲しい。これから第一次反抗期が訪れる。ちょうど二人目の子も生まれる。息子もいろいろな感情を「噛む」という行為で吐き出すことになるかもしれない。でももしそういうことになったら、きちんと息子にわかるように説明して、息子の気持ちを受け止めてあげられるといいな。